2021.06.27

フードデリバリー配達員等の労災「特別加入」とは

令和3年6月18年、労働政策審議会にて、フリーランスで働く’UberEats’などの自転車によるフードデリバリーサービスの配達員、フリーランスで働くIT人材に対する労働者災害補償保険「特別加入」ができる方向となりました(令和3年9月~の予定)。これから厚生労働省にて、対象となる業務の細かい範囲、労災防止の措置について等々詳細の詰めに入るようです。

加入方法については、会社で働く労働者の方とは異なり、「特別加入」という扱いになる予定。今日はその「特別加入」について、ご説明します。

まずは簡単に、労災保険、保険料の仕組みを一部ご説明いたします。

労災保険、労災保険料について

会社勤めの方々の場合、給与明細から「労災保険料」が毎月差し引かれているという方はいないと思います。なぜなら、労災保険料は会社のみが納めるもので、みなさんの気づかぬ間に(?)、会社が毎年1回、または3回払いでまとめて国に保険料を納めています。

保険料は、ざっくりいうと、1年間に労災適用となる従業員に支払った給料に2.5/1000 ~ 88/1000の保険料率をかけたもので、率は事業の種類によって異なります。金属鉱業や林業、水力発電施設、ずい道等新設事業など、危険が伴う事業は88/1000~60/1000と保険料は高く、小売業、IT業、飲食業、金融などは3/1000~2.5/1000と低くなっています。

例えば、社員30人のIT会社で、お給料を年間400万/人、年間で1億2千万円支払ったとすると、保険料率3/1000ですので、労災保険料36万(1年分)を1回で納付することになります。

また、重要なポイントとして、労災保険適用の対象は、会社に直接雇用される「労働者」なので、フリーランスの方はもちろん、会社の社長や専従役員も対象外です。管理監督者の方(部長さんや課長さんなど、会社によっていいろいろ)は、労災に関しては、労働者扱いで補償の対象となりますので、この方々のお給料は含めて保険料を支払います。もちろん、アルバイトやパートの方も、勤務日数や時間などは問わず、全員適用です。

今回の法改正の対象となっているのは、そのもともと適用範囲外の方々、いわゆる労働者ではないフリーランスである自転車によるフードデリバリー配達員、IT人材の方々です。

今回予定されている法改正では、この方々を、労働者にして労災適用にするのではなく、個々人が「自分で」労災保険料を負担すれば、労働者災害保険法の適用を特別に受けられるようにしましょう、という形での適用です。これが「特別加入」です。

「特別加入」とは

「特別加入」の仕組みは、今までも制度としてあり、今回はじめてできた制度ではありません。中小企業の社長で普通は労災には加入できないが、労働者と一緒の現場に出ていて同じように仕事をしている方、個人タクシーや個人配送業者など、従事する仕事内容等によって労災への「特別加入」を認められている方々はおられます。他にも、介護作業従事者・家事支援従事者・農作業の危険な作業に携わる方々なども特別加入が認められています。

実は、今年、令和3年4月1日から、今まで適用ではなかった個人事業主の方で、あらたに以下のような方々に対して「特別加入」が認められるようになりました。

・ 芸能関係作業従事者
・ アニメーション制作作業従事者
・ 柔道整復師
・ 創業支援等措置に基づき事業を行う方(定年退職後の方。高年齢者雇用安定法関係)

「特別加入」の方法は

「特別加入」は、国の承認を得た「特別加入団体」というものを通して加入することが絶対条件となっていますので、個人個人が勝手に、労働局に行って申し込むような方法ではありません。

今回の配達員の方は、すでに存在する「バイク配達の特別加入団体」等、IT人材の方も「一般社団法人ITフリーランス支援機構」等、これから特別加入団体の承認を得たところを通して加入することになるようです。特別加入の国に対する申請は、この団体が代わりに行うことになっています。職種ごとに、この「特別加入団体」はありますので、自分の職種にあった団体に加入することになります。

個々で直接国に加入の申し込みができないのは、保険料の徴収や事務処理等、国が直接個々人に対して行うのが困難になること、労災防止対策を適切に行うため等々いろいろな理由があるようです。

最後に、、

多様な働き方を推奨している国の制作と足並みを揃えるように、今後も特別加入の対象となる事業も増えるかもしれません。

フリーランスとして働く側のリスクや責任はある程度あるのは当然で、働き方の違う労働者と同じ補償を100%求めるというのも少々違和感があります。かといって、フリーランスとはいえ、企業の重要な原動力となっている場合も多いので、何も補償がないのも理不尽な感じもしますね。

ちなみに、契約上フリーランスでも、実態は労働者のような働き方をしていたと判断された場合、労災が認められたという判決もあります。行政側が働き手から労災の相談を受け、初めて労災隠しや労災保険料未払が発覚するケースも多いようで、その場合はもちろん事業者に対して罰則があります。法律は知らなかったでは済まされませんので注意しましょう。

「特別加入」の場合でも、いざ怪我や病気になったときの補償はほぼ会社に勤める労働者と同じですが、多少異なる部分もあります。もっと詳しく知りたい方は、こちらのパンフレットもご覧ください。

厚生労働省「労災保険法 特別加入制度について」

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